安く仕入れられる中古品せどりは、初心者でも稼ぎやすいとされています。
しかし、中古品を扱うには古物商許可が必要です。古物商許可がない状態で中古品を転売した場合、古物営業法違反により3年以下の懲役又は100万円以下の罰金が課せられます。
今回は、古物商許可が必要なケースと、古物商許可の取得方法を解説します。
せどりに古物商許可は必要?
転売は新品転売と中古品転売の2つに分けられます。古物商許可が必要になるのは、中古品転売です。
中古品転売
新品転売は、ほぼ定価で仕入れなければならないため、仕入れた商品の在庫が業界全体で品薄となってプレミア化でもしない限り、利益を出すのは難しい転売手法です。初心者がプレミア化する商品を見極めることはほぼ不可能で、上級者向けと言えます。
それに対して、中古品転売は安く仕入れられる場所がたくさんあるため、初心者でも取り組みやすい転売手法と言えます。メルカリやラクマなどの個人間取引サイトから格安の中古品を仕入れ、別の市場で転売すれば簡単に利益が出せます。
古物商許可があれば、難易度の低い中古品転売で稼げるようになります。
ジャンク品転売
また、古物商許可があれば、中古品だけでなくジャンク品の転売もできるようになります。
ジャンク品というと壊れた物(ゴミ)というイメージが強いですが、実はそうでもありません。単に古いだけの商品や、部品が少し足りない商品、少し動作不良があるだけの商品もジャンク品として売られています。
そういった「使えるジャンク品」「直せるジャンク品」は、少し掃除や修理をして転売すれば大きな利益を上げることができます。
ジャンク品は中古品よりもさらに安く仕入れることができます。加えて、「ジャンク品=売れない」と思っている人が多いおかげで、ジャンク品を扱っているライバルはほとんどいません。
古物商許可とは?
ここからは、古物商許可について詳しく解説します。
古物とは?
そもそも古物とは何かと言うと「一度でも消費者の手に渡った商品」を指します。簡単に言うと中古品です。
ちなみに商品が新品未開封でも、一度消費者の手に渡った物は古物とみなされます。そのため、メルカリやヤフオクなどの個人間取引サイトで仕入れた新品商品を転売する場合も古物商許可が必要になります。
無許可販売に対する罰則
古物商許可を受けていない状態で中古品やジャンク品の転売をした場合、古物営業法違反により3年以下の懲役又は100万円以下の罰金が課せられます。
古物商は警察署管轄
古物商許可は、警察署の管轄です。許可申請手続きも警察署で行います。
古物商の扱いが許可制になったのは、窃盗事件の捜査のために必要だったからです。
いつまでも盗品を持っているとそれが犯罪の証拠となりかねないため、窃盗犯は盗品を売りに出すことが一般的です。盗品が市場に流通した後に犯人を捕まえることは非常に難しくなります。
そこで、売り手の名前や住所等の個人情報を確実に取得できる者にのみ古物の扱いを許すことにより、窃盗犯の取締りに役立たせようとしたのです。アイデンティティチェックが厳格になったことで、盗品の売却が困難になっただけでなく、盗品が持ち込まれた場合でも犯人の所在を掴みやすくなりました。
古物商の三大義務
古物商になると3つの義務が生じます。
・商品買取時に本人確認をする
・取引情報を記録に残しておく
・盗難品であることが判明した場合は、すぐに警察に通報する
全ては盗難品の流通を防止するための仕組みです。
古物商許可が必要ない場合
ただし自分の不用品を販売する場合、古物商許可は必要ありません。なぜなら、不用品の転売は、販売事業ではなく「生活用動産の処分」という扱いになるからです。また、不用品転売で得た利益は課税対象ではないため、確定申告も必要ありません。
また、正規店から購入した新品を転売する場合も、古物ではないため古物商許可は不要です。
古物商許可を取るメリット
古物商許可を取得すると、中古品を転売しても逮捕されないこと以外にも良い効果があります。それは顧客からの信頼度が高まることです。
Amazonにおける古物商許可の効果
Amazonで中古品を転売している業者はたくさんいます。同じ状態の商品であれば、価格にそこまで差はありません。
では、顧客は何を基準にして商品を選ぶのでしょうか。答えは業者の信頼度です。信頼度を表す指標にはいくつかありますが、一番は利用者からの評価・レビューです。
ただし、評価・レビューを稼ぐには時間がかかるため、まだ取引数の少ない新規アカウントで出品する場合は、古参のセラーに敵いません。
そこで重要になってくるのが資格・許可なのです。古物商許可は立派な資格であるため、これがあるだけで信頼度がグッと上がります。評価数が少なくても、古物商許可があれば購入してもらえるようになります。
Amazonで中古品を販売しているセラーは多くいますが、古物商許可を取得しているセラーはそこまで多くありません。そのため、古物商許可を取得している旨を表記するだけでもライバルとの差別化が図れるのです。
ヤフオクにおける古物商許可の効果
ヤフオクは完全な個人間取引サイトであり、手元にない商品を出品したり、商品の情報を偽って記載するなどの悪徳セラーも存在します。
そのため、ヤフオクの利用者は常に出品者に疑いの目を向けています。
しかし、古物商許可を表記するだけで「きちんと許可を受けている人だ」「この人は信頼できる」と思ってもらえるため、入札数だけでなく入札額も上がりやすくなります。
古物商許可の取得方法
古物商許可は警察署で取得できます。具体的な取得手順を説明します。
古物商許可は各都道府県ごとに必要
自宅でネット転売する場合は、自宅の住所地を管轄している警察署に申請するだけで問題ありません。
しかし、複数の都道府県に事務所を構えて転売ビジネスをする場合は、各都道府県ごとに古物商許可申請をする必要があります。
警察署で申請
古物商許可の申請は警察署でしか行えません。
申請書類は、警察署のホームページから取得できます。申請の受付時間帯は各都道府県の警察署ごとに違うため、事前にホームページで確認してください。
古物商許可申請にかかる費用
古物商許可は申請するだけで19,000円かかります。支払ったお金は申請が却下されても返ってきません。
自分で用意できる書類
古物商許可申請に必要な書類と、その入手方法を解説します。まずは、自分で用意しておくべき書類です。
・古物商許可申請書
・略歴書
・誓約書
警視庁のHPですが、古物商許可申請書類をダウンロードできるので、参考までに掲載しておきます。
参考:古物商許可申請 警視庁
役所で発行してもらう書類
次は、役所で発行してもらう書類です。
・住民票
・身分証明書
住民票は、マイナンバーカードさえあればコンビニの端末からでも発行できます。
身分証明書について
身分証明書は、被後見人(禁治産者)、被保佐人(準禁治産者)、破産者でないことの証明書で、本籍地のある役所で発行します。
免許証や保険証など、一般的な身分証明書は古物商許可申請には使えませんので注意してください。
登記されていないことの証明書
登記されていないことの証明書は、自己が成年被後見人や被保佐人として登記(登録)されていないことを証明する書類で、法務局で発行してもらえます。
営業所の賃貸借契約書のコピー
自分が住んでいる賃貸アパートやマンションで中古品転売をする場合や、自宅とは別に賃借しているオフィスで転売ビジネスをする場合は、上記の書類に加えて営業所の賃貸借契約書のコピーが必要になります。
なお、賃借中の自宅で中古品転売をしたい場合は、マンション・アパートの管理会社から当該場所を古物営業の営業所として使用することを承諾する旨の使用承諾書をもらい、古物商許可申請時に提出する必要があります。
古物商許可の注意点
注意点として、古物商許可は誰でも取れるわけではありません。
古物商許可が取れない人
以下の条件に1つでも当てはまる人は、古物商許可が取得できません。
・成年被後見人
・破産者
・住所がない者
・5年以内に禁固刑、罰金刑に処された者
・5年以内に古物商許可が取り消された者
・未成年者
せどりに古物商許可は必須
古物商許可を取らないまま古物の転売を行うと罰則が課される可能性があります。安心してせどり事業に取り組むために、必ず古物商許可を取得しておきましょう。