個人輸出ビジネスの始め方など、詳しく解説します。ネットが普及した現在では、個人でも簡単に海外の顧客に商品を販売することができるようになりました。誰でも簡単に個人輸出が始められる時代なので、この記事を読んで「自分にもできそうだ」と思った人は、是非チャレンジしてみてください。
この記事で扱う個人輸出のイメージ
一般的に「輸出」というと、自動車や電化製品などを満載したコンテナ船のようなものをイメージする場合が多いはずです。もちろん、これは輸出の代表的な形態ではあります。
しかし、海外の顧客に販売した商品を国外に運び出せば、それは立派な輸出の一種です。この記事で扱う個人輸出は、ネットを通じて海外の顧客から注文を受け、近所の郵便局から国際郵便で送る小規模のものを想定しています。
個人輸出は誰にでも始められる
小規模な輸出ビジネスは、誰にでも始めることができます。現在のようにインターネットが普及するまでは、海外の顧客を相手にするためには、自ら海外に出向いて販路を開拓する必要がありました。
しかし現在では、AmazonやeBayのようなショッピングサイト、オークションサイトが発達しています。これらに出品するだけで、海外の顧客を相手にしたビジネスが始められるのです。初期投資もほとんど必要なく、誰でも手軽に個人輸出を始めることができる環境が整っているので、やる気さえあれば誰でも挑戦できます。
これだけあれば個人輸出は始められる
誰にでも始められると言いましたが、最低限準備しておく必要のあるものがあります。まずは、ネットに接続できるパソコンです。
ある程度ネットが軽快に使えれば問題ないので、最新型を用意する必要はありません。スマホでも不可能ではありませんが、やはり何かと不便なので、できるだけパソコンを用意しましょう。
次に、クレジットカードまたはデビットカードです。海外とのやり取りなので、クレジットカードがないと決済が難しくなります。クレジットカードがない場合は、デビットカードでも大丈夫です。
最後に、銀行口座が必要になります。これは、海外で商品が売れた場合に、最終的に日本円で報酬を引き出す際に必要となるものです。この3つがあれば、個人輸出を始めることができます。
気になる英語力は
個人輸出では顧客は外国人なので、やり取りは多くの場合は英語で行うことになります。英語に自信がない人は不安もあるかもしれませんが、基本的に英語ができなくても問題ありません。
なぜなら、外国人とやり取りをするといっても、直接会話をするわけではないからです。メールなどの文書のやり取りになるので、翻訳サイトで十分対応できます。
具体的には、Google翻訳やWeblio翻訳といった無料で使える翻訳サイトがあるので、これらを使うといいでしょう。将来的に、大きな金額の取引を行うようになれば、そのときに翻訳家に依頼することを考えれば十分です。ちなみに、翻訳を依頼するのもネット経由で可能です。conyacやcoconalaといったサイトがあります。
参考:conyac
参考:coconala
個人輸出の基本的な仕組み
この記事で紹介している個人輸出の基本は、海外で高値で売られている日本製品を見つけて、それを日本で安く購入し、海外で販売することで差額を得るというものです。例えば、eBayに以下のような商品が出品されています。あるゲームに登場するロボットのプラモデルです。
103ドル弱くらいの値段で出品されています。日本円にすると10,000円を超える値段です。これが日本のAmazonでは、7,000円台後半で売られていました。
差額が3,000円以上あります。実際に販売する場合は、eBayに支払う手数料(出品時にかかる出品手数料や商品が落札された際にかかる落札手数料など)、Paypalで代金を受け取る際に発生する手数料、それに配送料や梱包用資材の代金などの経費がかかるので、差額がすべて儲けになるわけではありませんが、1個当たり1,000円以上の儲けは出せるでしょう。このような商品が月に10個売れれば、1万円以上の利益が出せるわけです。
また、新品の商品を個人輸出する場合は、無在庫での販売も可能です。先にeBayなどに出品しておいて、商品が購入されたら、Amazonなどで仕入れて発送するのです。この方法なら、不良在庫を抱える危険性がないので、リスクを小さくできます。
ただしこの方法は、商品が売れた後で仕入れに失敗すると商品が送れないことになり、出品者としての評価を下げる原因にもなりかねない方法です。この点は逆にリスクになるので、無在庫販売をするのは、ある程度仕入れに確実性が見込める商品にしておく必要があります。
個人輸出を始めよう
輸出ビジネスを始める場合、例外的に医薬品のように事前に許可を得なければいけない物品もありますが、一般的には自由に始められます。衣類や雑貨、おもちゃといったものを取り扱う際には許可はいらないので、始めたいと思ったときに始められます。個人輸出の始め方についてみていきましょう。
プラットフォームを決める
プラットフォームというのは、基盤や土台といった意味の言葉ですが、ビジネスの場といった意味もあります。ネットビジネスでは、ショッピングサイトのことを示す意味でも使われています。
たとえば、Amazonや楽天市場、メルカリなどはプラットフォームの1つです。個人輸出をする際には、自分でサイトを立ち上げる方法もないわけではありませんが、自分で作ったサイトに顧客を集めるのは非常に困難です。
自分にしか売れないオリジナル商品があるような場合は不可能ではないかもしれませんが、この記事で紹介しているような転売型のビジネスで自分のサイトに人を呼んでくることは難しいです。そこで、既存のプラットフォームを利用することが是が非でも必要になるわけです。世界的に見ると、アメリカのAmazon(amazon.com)とeBayが非常に巨大なプラットフォームになるので、まずはこのうちのいずれかを使った個人輸出を始めることを検討するとよいでしょう。
売れる商品を探す際のポイント
個人輸出で売れる商品を探す際のポイントの1つは、「メイド イン ジャパン」が持っている信頼性や魅力を生かすことです。たとえば、コンパクトでありがながら高性能の機械類、日本の伝統的な文化を思い起こさせるもの、アニメやゲームに関連したおもちゃなどです。海外の人が、「こんな日本製品が欲しい」と思っているものを売れば、売れ行きは良くなります。
売れる(売れている)商品の調査方法としては、SNSで話題になっているものをチェックするといった方法があります。また、特に広く話題になってはいなくても、先ほど挙げたアニメ・ゲーム関連の商品のようなマニア層が多い商品は、売れ行きが良い傾向があるので着目すべきです。
価格相場にも気を配ろう
商品が売れることは非常に重要ですが、ビジネスとしては「儲かる値段で売れる」のでなければ意味はありません。商品の相場を把握して、「いくらで売れれば儲かるのか」が分からなければ、商品を仕入れることもできません。
売れそうな商品を見つけたら、それがいくらくらいで売れているのかを、しっかり調べましょう。自分が使うプラットフォームであるamazon.comやeBayでの価格相場をチェックするのはもちろんですが、aucfan Pro PlusのようなECサイトの価格を比較してくれるサービスもあるので、こういったものを使うのもオススメです。
個人輸出の商品仕入れに使えるサイト
個人輸入をビジネスにするためには販売先も重要ですが、商品の仕入先もまた重要です。少しでも安く仕入れることが、儲けを出すことに繋がります。
まず仕入先として誰もが簡単に使えるのが、Amazon(amazon.co.jp)やYahoo!ショッピング、ヨドバシ.comといったようなショッピングサイトです。ヤフオク!やmercari(メルカリ)、ラクマ、モバオク!のようなオークションサイト、フリマサイトも、思わぬ掘り出し物が見つかることもあり、オススメです。
またネットで卸問屋と取引ができるサイトや卸問屋との仲介をしてくれるサイトもあります。卸なので、最小購入単位(ロット)が数十個だったりするケースもあり、1個から仕入れることができない場合があるのは不便ですが、販売個数が多くなれば便利に仕えるサイトです。
具体的には、以下のようなサイトがあります。
参考:卸問屋.com
参考:NETSEA
参考:問屋 国分ネット卸
参考:卸売ドットコム
参考:まいど!
参考:未来問屋
上記以外にも、さまざまなネットショップ、ネット卸問屋などが利用できますが、まずは上に挙げたショップから検討してみてください。なお、卸問屋に関しては、個人を相手には商品を販売していないところもあり、個人輸出の仕入れ先としては使えない場合も出てきますので、ご注意ください。
下調べが済んだら、プラットフォームに登録
販売・仕入れをする商品や、販売先・仕入先についてある程度調べたら、販売先となるプラットフォームの登録を済ませましょう。やはり始めてみないと分からないことはあります。最初は不安もあるかもしれませんが、まずは始めてみることが大事です。
英語に自信がなければ、無料の翻訳サイトでもほとんどの場合は対応できるので、あまり心配する必要はありません。
プラットフォームは、まずはアメリカのAmazon(amazon.com)かeBayがオススメですが、中国のサイトである淘宝网(タオバオワン Taobao.com)のようなサイトもあります。
銀行口座の準備も忘れずに
個人輸出で商品を販売して代金を受け取った際、現金化するためには銀行口座が必要になります。銀行口座は、既に開設済みのものを使うこともできなくはありませんが、自分が普段使っている口座とは別にして管理した方が税金の申告の際などに便利です。個人輸出関係の処理をするための口座を1つ開設しておくことをオススメします。
アメリカのAmazonを使った個人輸出
ここからは、もう少し具体的な説明に入っていきます。まず、アメリカのAmazon(amazon.com)を使った個人輸出のやり方です。日本にもAmazonはありますが、日本のAmazonはamazon.co.jpで、amazon.comとは違うので気をつけてください。
個人輸出の流れとamazon.comの概略
個人輸出をするにあたっては、大きく分けて次の4つの作業が必要になります。まずは、輸出に使うサイト(ここではamazon.com)への登録です。
次に、海外で売れる商品を探します。仕入先も同時に調査する必要があります。
売れそうな商品が入手できたら、amazon.comに出品し、商品が売れたら、商品を国際便で発送します。国内のサイトで商品を販売したことがある人には、上の作業が国内のサイトを使った場合とほぼ同じであることがわかるはずです。個人輸出だからといって特別なことをする必要はありません。
そして、アメリカのAmazonを使う場合は、有利な点があります。アメリカのAmazonは、世界でも最大規模のショッピングサイトですが、日本のAmazonとサイトの構成がほとんど同じです。こちらが、日本のAmazonのトップページです。
こちらが、アメリカのAmazonのトップページです。
もちろん、言語の違いはありますが、画面構成はほとんど同じであることがわかります。アメリカのAmazonに慣れる意味でも、実際に使ってみましょう。アメリカでどんな日本製品が販売されているかを知る意味でも、「import Japan」でキーワード検索してみてください。
非常に多くの日本からの輸入品が、アメリカのAmazonで販売されていることがわかります。自分が取り扱いたい商品の目星がついている人は、カテゴリーを絞り込めばより参考になります。ここでは、「Toys & Games」に絞り込んでみました。
商品のリサーチと仕入れ
商品のリサーチは、日本での販売価格とアメリカでの販売価格に差があり、輸出をすれば差額で儲けが出るものを探すことです。そして、Amazonに支払う手数料や配送料なども勘案して儲けがでそうな商品が見つかったら、商品を仕入れます。少しでも安く商品を仕入れることが個人輸出ではとても重要になるので、慣れるまでは面倒に感じるかもしれませんが、各サイトを比較して、少しでも安いところから仕入れましょう。
アメリカAmazonに商品を出品
販売する商品を仕入れることができたら、Amazonに出品します。アメリカのAmazonにも「amazon seller central」という出品者用のページがあり、このページで出品状況、販売状況などを知ることができます。なお、Amazonの場合、商品はASINという共通コードで管理されているので、既に登録が終わっている商品を出品する場合の手続はとても簡単です。
配送作業が大幅に楽になるFBA
FBAというのは、Fulfillment By Amazon(フルフィルメント バイ アマゾン)の略です。簡単にいうと、Amazonが提供している配送サービスということになりますが、実際には配送に留まらず、商品の保管、注文処理、配送、返品の処理までAmazonが一括して請け負ってくれる総合的なサービスです。
このFBAを利用すると、商品の出品者は事前にAmazonの倉庫に商品を送っておけば、後の処理はAmazonが行ってくれます。手数料が発生するので、ある程度個人輸出が軌道に乗ってからでないと利用するには躊躇するかもしれませんが、配送関係の手間を大幅に省くことができるサービスです。
日本のAmazonでも行われているサービスですが、本家であるアメリカのAmazonにも、もちろんFBAがあります。このFBAを利用して販売することには手間が省ける他にもメリットがあって、FBAを利用している商品にはprimeのマークが表示されるようになります。
Amazon Primeの会員であれば、primeのマークが入った商品は送料が無料になるので、売り上げアップに繋がることが期待できます。個人輸出を始めた当初から利用するかどうかは別として、Amazonで個人輸出を続けていくなら、FABはいずれは利用したいサービスです。
初心者でも始めやすいAmazonを使った輸出
ここまで、Amazonを使った個人輸出について説明してきました。個人輸出は、実際にはそれほど難しいものではありません。
中でもAmazonは、高度にシステム化されているので、既存のシステムを利用するだけで簡単に個人輸出が始められます。たとえば、以下は日本でも人気のキャラクターフィギュアのページです。
この画面を下の方にスクロールしていくと、ASINというコードが振られています。
このASINというのは、基本的にAmazonで扱われているすべての商品に割り振られていて、世界共通で使われています。上の商品の日本のASINコードを確認すると、同じであることがわかります。
これは個人輸出をする人にとても便利なことで、ASINコードを基準にすれば、アメリカのAmazonでも日本のAmazonでも迷うことなく商品をリサーチすることができ、簡単に出品することもできます。仮に商品名でリサーチしようとすると、英語の綴りがわからなかったり、現地では販売名称が変わっていたりして面倒なことになりかねません。先ほど紹介したFBAもそうですが、Amazonが高度なシステムを色々と構築してくれているので、日本からアメリカのAmazonに出品するのも用意されたシステムを使えば意外と簡単に行えます。
eBayを使った個人輸出
Amazonを使った個人輸出の次は、eBayを使った個人輸出に関してご紹介します。eBayというのは、世界最大規模のオークションサイトです。ご存じない方は、ヤフオク!をイメージしてください。
継続が大事なeBay
Amazonなどの他のプラットフォームを利用する際にも、継続していくことが重要なのはもちろんですが、eBayでは特に顕著です。それは、eBayには販売制限(Selling limits)があるからです。eBayでは、この販売制限の枠内でしか出品をすることができません。
この枠は、実績を積むことで制限を引き上げていくことができる仕組みになっていますが、枠が小さな内は取引量を増やせないので儲けが出にくくなります。eBayで輸出ビジネスを成功させるためには、この時期を我慢して継続することが必要となります。
また、出品者としての評価を高めていくのにも、一定の時間が必要になります。自分がヤフオク!などで落札する側になったときのことを考えるとわかりますが、まったく実績のない新規の出品者の商品を落札するのは不安を感じます。これはeBayでも同じで、取引の件数が増えて、購入者からの高評価が集まってこないと、商品の売れ行きは伸びません。
eBayの出品者の評価欄は、以下のようなものです。
逆に言えば、取引の件数が増えて高評価が集まれば、売れ行きも伸びて販売制限の枠も広がって、より売れ行きを伸ばすことができるという好循環が生まれるということなります。この流れができるまで、辛抱強くeBayでの輸出を継続していくことが必要になります。この点は、AmazonにはないeBayの特徴です。
スムーズにeBayを使った輸出を始めるために
eBayを使って、個人輸出を始めるためのオススメのステップアップの方法を解説します。なお、以下の内容は、国内の転売ビジネスを含めて初めて行うという人向けなので、既に転売ビジネスを経験済みの方は、自分に必要がないと思ったステップは飛ばしてもらっても問題ありません。
まず、最初は、国内のヤフオク!などのオークションサイトに出品して、ネットオークションというものを体験してみましょう。オークションに出品することを経験することが目的なので、出品するものは身近にある不用品などで構いません。
参考:ヤフオク!
次に、PayPalのアカウントを取得しましょう。PayPalというのは、オンライン決済サービスの1つで、世界でも最大規模のものです。取引相手に自分のクレジットカード番号などを伝えなくてもPayPalを通じで決済できるので安全性が高く、国際的な取引をする際には非常に便利なものです。
参考:PayPal
PayPalのアカウントを取得したら、eBayの登録も済ませましょう。アカウントの作成は無料でできます。
次はeBayを実際に使って、何か商品を購入してみるといいでしょう。決済手段としてPayPalを使うことの練習にもなります。購入するものは、個人的なものでも構いませんし、日本で売れそうなものを見つけたら、eBayで買ったものをヤフオク!で売ってみるのもオススメです。
上に挙げたことを何回かやってみて、eBayにもある程度慣れてきたら、いよいよ出品する側に回ってみます。先ほども書いたように、eBayには販売制限があるので、最初の内は取引額は必然的に小さくなりますが、徐々に慣れていくには丁度良いのではないでしょうか。
個人輸出で商品が売れた場合の発送方法
eBayで商品が売れたら、商品を顧客に発送する必要があります。ヤマト運輸の国際宅急便などのサービスもありますが、一般的には日本郵便を使うのが手軽で安いのでオススメです。
海外に荷物を送る場合は、小型包装物というサービスがあります。長さ・幅・厚さを足して90cm以内、重さ2kgまでの荷物を安く送れます。
配送方法として船便も選択できないわけではありませんが、配送期間が非常に長くなるので、通常は航空便を使います。料金は50g刻みで細かく分かれていますが、例えば450gを越える500gまでの小型包装物ならアメリカまでの送料は960円です。
また、アメリカの場合、SAL便(エコノミー航空便)も選択可能です。このサービスは、国と国の間は航空便、国内では船便として扱われます。配送期間は多少長くなりますが、送料が抑えられます。こちらは100g刻みで500gまでの場合は580円です。なお、現在、新型コロナウイルスの影響で発送できない国もあるので確認する必要があります。
まとめ
個人輸出の始め方などについてお話してきました。個人輸出という言葉だけを聞くと大変なことのように感じるかもしれませんが、この記事で紹介してきたとおり、実際には国内での転売ビジネスとあまり大きな差はありません。
特に副業として最初は少額の取引から始める場合は、かなり気軽に始めることができるものです。まずは始めてみて、そこから徐々に取引額を増やしていけば、将来的には大きなビジネスにすることもできます。その場合には、データの蓄積や分析も重要になってきますが、Amazonの場合、「amazon seller central」で自分の取引に関する各種のデータが参照できます。
将来的にはこのようなデータを利用することで、効率的なビジネスも可能になりますが、まずは実績・経験を積むことです。この記事を読んで個人輸出に興味を持った人は、amazon.comやeBayに1つ出品してみることから始めてみてください。